大衆食堂

hidarinodo

2021年01月26日 23:04

妻の母は、生前、浦添市で大衆食堂を営んでおられました。八重芸の後輩を連れて行ったことが何度かありました。そのたびに後輩たちはお母さんにあいさつをし、話をしたり笑ったり、ときには故郷の話を聞いたりして、そうそう、歌と踊りを披露したこともありました。そうして、丁寧にお礼を言って帰るのでした。八重芸の活動の中で、部員たちは島の大人(お年寄り)から芸能を教えていただきます。大人と会話をすることが必要なのです。そのせいか、いわゆる「大学生」というイメージとはちょっと違った人たちだったと思います。
ある日、多良間島出身のOBを連れて母の店へ行きました。手料理をいただきながら、多良間OBは母と話をしておりました。食事を終えて、店を出る前に私はトイレへ。トイレから戻ると、母が多良間OBに何かを言っています。多良間OBは頭をかきながら「はい・・・はあ・・・はい」と困ったような返事をしていました。母が私をみて、「ああ、もう帰る?じゃあ、行きなさい」と多良間OBを開放してくれました。店を出て車に乗って、
「いったい、何の話をしてたの?」
「はあ、最近島に帰っているのかって。で、長いこと帰っていませんと言ったら、帰りなさい。帰らないとだめだと叱られました」
「ハハハ、そりゃ気の毒だったね」
「いえいえ、でも、やっぱり宮古の人はあったかいですよねえ。オレが島に帰るかどうかなんてどうでもいいことでしょうに、あんなに真剣に叱ってくれるんですから」
こんなふうに考えられるなんて、さすが「八重芸」です。