はじめての三線
最初に私の相手をしてくれたのは、2年生のT先輩(女性)でした。私は畳の上に正座していました。先輩は胡座をかいて微笑みながら話しかけてくれました。
「内地か?」
「はい。大阪です」
「三線、弾いたことあるか?」(この「三線」はシャミセンと発音していました)
「いいえ、ありません。さわったこともありません」
「だあ、そこに三線あるさ。触れ」
「はい。ありがとうございます」
T先輩が三線ケースの蓋を開いて、私の目の前押し出しました。ケースに入ったままの三線の棹に、人差し指と中指でちょんと触れて、
「ありがとうございました」
先輩は大笑いしました。笑いながらケースから三線を取り出して、ウマを立てました。調弦をして、傍にいた男性部員にこれで良いかと確認して、その三線を私に手渡しました。
「弾け」
「え?弾いたことないので」
「そこに工工四があるさ。見て弾いて」
もちろん、弾けません。先輩は工工四の「勘所図」を私に見せて、簡単に説明をしてくれました。
というのが、はじめての三線でした。